狭小・北向きでも明るく快適! 家族が集まる居心地抜群のLDK

光が差し込むリビングダイニング

 

首都圏の狭小住宅でよく見かけるのが「3階建て・2階がLDK」というパターン。だが、東京を中心に数多くの狭小住宅を手がける(株)ホープスの清野廣道さんは、敷地14坪のU邸のLDKを3階・北向きに配置した。一見するとセオリーに反するようなこの間取りには、実はいいことが盛りだくさん。その魅力とは?

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セオリーよりも“暮らし方”を大切にする家づくり

時季が来ると、閑静な住宅街を彩る桜並木沿いの角地。それが、ご夫妻と娘さんの3人家族のためにつくられたU邸の立地である。

“桜並木沿いの角地”は、一見、恵まれた条件のように思える。しかしUさん一家がこの敷地に新居を建設するにあたっては、大きく分けて2つの懸念点があった。ひとつは広さが約14坪と、いわゆる狭小敷地の部類に入ること。もうひとつは、ぜひとも眺めたい桜並木は敷地の北にあり、角地といっても隣家がないのは北西ということだ。

狭小住宅を得意とする複数の設計会社にコンタクトしたUさん一家は、最終的に株式会社ホープスの清野廣道さんに家づくりを託した。その理由を、かつて施工関係の仕事もしていたUさんはこう語る。

「正直、他社の提案は新鮮さを感じられなかったんです。私たちにはないアイデアが次々と出てきて、住まいのあり方に“広がり”を感じられたのはホープスさんだけでした」

完成したU邸は、1階が車庫とゲスト用個室、2階が夫妻と娘さんそれぞれの個室とバスルーム。3階はLDKとなぜか洗濯機置場があり、LDKから上がる屋上にはルーフバルコニーがある。

ここでひとつの疑問が湧いてくる。狭小住宅でU邸のように3階建てとする場合、プライバシー面や玄関からの動線を考え、LDKは2階に配するケースがほとんどだ。なぜ、U邸は3階をLDKとしたのだろうか?

答えはU家の暮らしに合わせた家事動線にあった。Uさんは仕事の傍ら地元の小学生のバレーボールクラブのコーチを務め、この春に高校へ進学した娘さんもバレーボール部で活躍するスポーツ少女。父娘それぞれの部活動で大量の洗濯物が生まれるU家の新居設計において、洗濯物を干す広いバルコニーや効率的な家事動線の確保は極めて重要なミッションだ。

しかし、バルコニーを広くとればそのぶん部屋が狭くなってしまう。「その解決策としてご提案したのがルーフバルコニーです。これなら各フロアのバルコニーが不要になり、住空間を広くとれます」と清野さん。ルーフバルコニーへ出る屋上階には室内干しスペースもある。洗濯の動線を考えると、奥さまが長い時間を過ごすLDKは屋上階に近いほうが断然いい。そこでLDKを3階とし、洗濯機置場も設けたというわけだ。

桜を眺められるよう、LDKを北向きにつくったことも3階とした理由のひとつ。北側採光は安定した柔らかな光を得られ夏場の酷暑対策にもなるが、南に比べたら光は弱い。そのため、LDKを3階にして窓の位置を高くし、たっぷり採光する環境を整えたのである。

清野さんによれば“採光”、“広いリビング”といった多くの施主が望む条件を狭小地でクリアしようとすると、ある程度パターン化された間取りになりやすい、とのこと。

「でも、“暮らし方”は施主さまごとに異なります。我々は施主さまそれぞれのスタンダードを見つけ出し、家づくりに活かしていく。U邸の場合は桜並木沿いという恵まれた立地と、ご主人もお嬢さまもスポーツに打ち込んでいらっしゃるライフスタイルが軸になりました」

ふと、Uさんが「子どもがリビングを通らずに自室に行ける間取りには、多少迷いもありました」と口にした。すると、娘さんは「みんないつもリビングにいるよ」と無邪気に返した。奥さまはその言葉を受け、「全員そのままリビングで寝ちゃいそうだもんね」と笑う。

家族の顔を見ずに自室へ行ける間取りなど、Uさん一家にとっては何の弊害もないのだろう。清野さんはこの仲の良さも早々に察知して、少々型破りな間取りを提案したのかもしれない。一般的なセオリーとは異なる造りながら、U邸のLDKは明るく開放的で家事動線も抜群。“暮らし方”を見つめる丁寧な対話と設計の工夫によって、Uさん一家に最高にフィットするかけがえのない住まいが誕生した。

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家族と暮らしを守る、すぐれた構法を見極める審美眼

家づくりの発想・アイデアに広がりがあり、ひとつ要望を伝えれば数パターンの提案が返ってくる。そんな同社の設計力に惹かれて依頼を決めたUさん一家だが、実はもうひとつ、同社に家づくりを託した大きな理由があるという。

その大きな理由とは、耐震性の高さ。施工も手がける同社の木造住宅の構法はすべて、鉄筋コンクリート造や鉄骨造などで用いられるラーメン構造を木造にとり入れたもので、非常に耐震性が高いのだ。

清野さんは言う。

「高性能を謳う新しい素材や技術、住宅商品はどんどん出てきますが、そういうものを使えばいい家ができるとは思っていません。家づくりで大切なのは、どんなものを用いるかではなく、建物としての性能や快適さを総合的に計算しながら“ちゃんとつくっていくこと”です。そういう観点で、“いい”と判断したものは積極的にとり入れます」

あくまでも“どうつくるか”を重視し、新しい技術や素材は真に活きるかを慎重に見極める。その中で、同社が“いい”と判断した筆頭がこの構法なのだという。

取材時、Uさん一家は1週間後にこの新居への引越しを控えていた。「もう電気も水道も通ってるから、ここに泊まろうと思えば泊まれちゃうよね」と、嬉しそうに話す娘さんを見て笑顔のご夫妻。趣あるアカシアの床や窓越しの桜並木が一家団欒にふさわしい温かな心地よさを醸す空間は、住む人と暮らしを守る確かな強さも備えている。

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住んでいる人:夫婦+子ども1人

ホープスさんと初めて打ち合わせをしたとき「どう暮らしたいですか?」と聞かれ、家づくりで大切なことに気づけたように思います。娘の言うことを子どもだからと流さず、真摯に聞いてくださる姿勢もとても信頼できました。設計期間中は流行や一般論を押し付けることなく、私たちが実際に住みやすいかどうかを親身に考えてくださり感謝しています。私たちらしさが随所に活き、予想を上回る素晴らしい住まいになりました。

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Works:暮らし方を大切にする、北側3階リビングの狭小住宅

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